天才が凡人に出会った。

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凡人が天才に出会った。

過重労働・ブラック企業・ヒット商品の開発・独立。波瀾万丈の人生を歩んだフリーランスがこれまでの人生を振り返ります。

無能の烙印を押された私が大ヒット商品を開発する話。その3「それは九州からやってきた」

総合通販の会社編

▼この記事はこちらの記事の続きになります。

taf.hatenablog.jp 

taf.hatenablog.jp

 

それは九州からやってきた

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電話の途中突然口調が変わったマツオカさん。

「わ、分かりました、ちょっとこっちでも調べてみますわー」

 

困惑しているような様子ながら電話を切るマツオカさん。

そして私に

「TAF君・・食べるラー油って聞いたことある?」と言いました。

 

食べるラー油・・

ラー油を食べる?

 

私はマツオカさんの言っている意味が分かりませんでした。

「え・・ラー油ってあの餃子とか食べる時に使うラー油ですよね、

いや、ラー油を食べるっていっても、ラー油って液体じゃないですか。

むしろ・・どうやって食べるんですか?」

私は質問に質問を返していました。

 

マツオカさんも要領を得ない様子で

「いや、俺も全く同じ感想なんやけど、それがな・・」と言い、話しを続けました。

 

水面下で動く謎の商品

 

マツオカさん曰く、 

  • 九州のある実店舗で食べるラー油なる商品が凄い勢いで売れている
  • その規模が少しずつ広がっている
  • 大手メーカーの桃屋が作っていて凄く長くて変な名前の商品
  • 桃屋のホームページにはお詫びが掲載されている

とのことでした。

 

私が桃屋のホームページを見てみると確かに品薄のお詫びが掲載されていました。

そこにあったのは、「辛そうで辛くない少し辛いラー油」という商品でした。

 f:id:TAF:20170130135103p:plain

www.momoya.co.jp

 

※今となっては誰もが知っている商品ですが、

当時私が調べた限りテレビ、新聞にも掲載されず、唯一桃屋のホームページ でのみ

その存在を知ることができる商品でした。

 

「マツオカさん、確かにありました。にんにくチップとか入れて食べやすくしてるみたいですね。ごはんにかけて食べる商品ですね」

私はパソコンモニターに指を指しながらマツオカさんに話しかけました。

 

「ああ、TAF君、ありがとう。へぇーこれがそうか。何かラー油やのに辛くないってのは変な感じやな。実際食ってみな分からんな」

せめて現物があれば・・。なにせ情報が少な過ぎる。

私とマツオカさんは狐につままれたような感覚でその日は会社を後にしました。

  

地元のスーパーにて

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その日の退社後、私は辛そうで辛くない少し辛いラー油」が気になっていたので、

自宅近くのスーパーに見に行くことにしました。

すると残り2個で 棚に並んでいました。 

他の類似商品と比べて明らかにこの商品だけ数が減っています

「大阪で後2個・・近畿でも売れ始めてきてるかもしれない。」

 

私は気になりましたが、まずは味の確認が最優先です、

購入後は急いで家に帰り、早速ご飯にかけて食べてみました。

 

「あ・・これ美味しい。確かに、辛くない」

 

私の第一印象は「ラー油だけど、食べたことのない味」でした。

私は辛い物が苦手なので、辛さが控えめの味付けは食べ易く、

気づいたらパクパクと食べていました。

なるほど、こういうことか。商品名の意図が分かりました。

私は食べるラー油をポリ袋に入れて明日会社に持っていくことにしました。

 

 希望と迷い

 

私は翌日出社後、早速マツオカさんに

食べるラー油、昨日スーパーに見に行ったらありましたよ!」 

食べるラー油を見せました。

 

マツオカさんは一口食べると

「ああー!こういうことか!はー、よう考えたなー」感心しているようでした。

 

しかし、しばらくすると

「あーでも、俺みたいな辛い物好きからしたら辛さが物足りんわ。

もっと辛くても良いけどな」マツオカさんは少し不満げでした。

 

「僕とかは辛い物苦手なので食べ易かったですね。

きっと僕と同じように辛い物が苦手な層を狙った商品だと思いますよ。

だから商品名にも辛くないって入れてるんですよ。

でも・・確かに言われてみれば元はラー油ですからね、

やっぱり辛い物が好きな人からしたら物足りないかもしれませんね。」

私は自分が感じたことを伝えました。

 

「いや、TAF君、絶対そうや。

こういう辛い物ってのはな、俺みたいな辛い物好きが真っ先に手に取るんやけど、

辛くなくて文句言う人はおるけど辛すぎて文句言う人はそうおらへんのや。

マツオカさんは確信をもって話しているようでした。

 

「それじゃあもし、名前の通り辛さが強めで、

まさに食べるラー油とも言える商品があったら売れるんじゃないですか?

理屈としては売れるはず。私はマツオカさんに提案しました。

 

マツオカさんの人脈では商品の加工を専門に扱っている会社があります。

そこなら作れるのではと。

 

「確かにあの会社やったら作れるよ。けどな、TAF君、

俺もここまで言っといてなんやけどな・・」

マツオカさんはどこか気が進まない様子でした。

 

運命の分岐点

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「実はなTAF君、こういうご飯のおかず系の商品ってのは一発当てたらでかいから、

毎年毎年色んなメーカーがやれにんにく入れましたとか、やれ明太子入れましたとか

色々考えて出すんや。でもな大概売れずに消えていくんや。

やからTAF君には折角持ってきてもらって悪いんけどこの食べるラー油に関しても同じ様な気がするんやわ。

俺は正直企画する程のもんではないと思うけどTAF君はどう思う?」

マツオカさんは企画に関しては懐疑的なようでした。

 

新商品の企画は日数と相当なエネルギーを注ぎ込んで完成します。

売れる見込みのない商品は避けるのも一つの判断なのです。

 

しかし、私は自分がスーパーで目にした棚の減りもありましたが、

何かひっかかるものがありました。なので静かに力強く

 「確かに、そうかもしれませんけど・・もちろん美味しいってのもありますけど、

何より食べるラー油って響きがキャッチーですし、僕はやってみたいですね

私は答えました。

 

「わかった、それじゃあ企画しようか。」

 

こうして辛い食べるラー油商品の企画がスタートしました。

 

誰も知らない物を売るということ

 

新商品の企画がスタートすると私のマツオカさんがやることは多岐に渡ります。

  1. 商品スペックの確認(容成分・量)
  2. サンプル作成
  3. サンプル撮影
  4. 商品のセット組・販売個数を検討
  5. 商品ページの作成
  6. 販売

 これらの作業を二人で分担して進めます。

この中でも特に時間がかかるのが5の商品ページの作成です。

よろしければ皆さんも一度イメージしてみて下さい。

誰も知らない物を自分が相手に説明して売る、簡単なことではありません。

まず相手に説明するところから大変です。

誰も知らない物です、不審がる人もいるでしょう。

説明がくどくなると「いや、もういいよ」と嫌になる人もいるでしょう。

そのため、くどすぎず、かつ分かりやすい説明、そして興味を惹く、

絶妙なセンスが求められます。

商品の核とも言える部分で売れ行きを左右する重要なポイントです。

それをページ構成から作成まで自分たちで考えなければなりません。

 

今回企画する新商品は

私がノートに商品ページの全体の流れを下書き、

それを元にマツオカさんがデザインしていくという形で作っていきました。

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※当時を振り返りながら書き起こして見ました。字が汚いのはご了承下さい。

相手に伝われば良いのでこのような感じで思いついたアイデアやフレーズがあれば

どんどん追加していきます。

4コマ漫画の様なイメージで上から下に商品ページの流れを書いていきます。

途中お互いで意見交換しながら一つの商品ページに仕上げていきます。

私は日常の業務の中でもこの仕事が特に好きな仕事でした。

真っ白いキャンパスに絵を描いていく様な感覚で非常に楽しいです。

 

その後メーカーからもサンプルも届き、良い具合にピリ辛~辛い味に仕上がりました。

新商品開発は急ピッチで進みその結果、2週間程で商品ページは完成しました。

※今回開発した商品につきまして、色んな人と関わって出来た商品なので

具体的な商品名は控えさせて頂きます。商品は現在アマゾンでも販売されています。

 そして新商品の公開前日を迎えます。

 

新商品公開前日

 

「いよいよ、明日ですね。」

「せやな。売れてくれたらいいんやけどなぁ・・」

「そうですね・・」

 

私とマツオカさんはこんなやりとりをしていました。

商品を企画した人間にとって、自分が企画した商品は我が子の様なもので、

愛着が沸きます。

私もマツオカさんも自分が良いと思った物をお客さんに薦めるのがポリシーです。

どの商品もお客さんの手に渡ってほしい気持ちは同じです。

年は一回り離れていますが、これまでに数々の商品を企画していく内に、

私にとってマツオカさんは同僚というより戦友とも言える存在になっていました。

しかし、あまり悠長なことも言っていられません。

実のところ、ヒット商品に恵まれていないのもあって、

最近私にのみならずマツオカさんにまで専務からの批判の目が向けられるようになっていました。マツオカさんも不安を隠せないようでした。 

 

「マツオカさん、新商品・・公開しますね」

「うん、頼むわ・・」

 

カチッ

◆公開する

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私はマウスをクリックしてネットショップに新商品を公開しました。

ネットショップの商品の売れ方は様々です。

爆発的に売れる商品、じわじわ売れる商品、公開してから初めて分かります。

新商品の公開日の時点でインターネットモールに出店している約3000店舗弱の

どの店も販売していません

桃屋食べるラー油は品切れのためネットには流通していません。

そして私達と同じように開発しているお店はありません。

つまり私達のネットショップが同モール内での一番初めに販売するお店になります。

 

売れるのか、

売れないのか。

 

後は行く末を見守るのみです。

期待と不安が入り混じる中、私とマツオカさんは会社を後にしました。

 

つづく

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